第16回「対話」
2023.06.24
私たちは、0歳児からの日頃の保育活動で「こどもの声に耳を傾ける」ということを大切にしています。
どんな小さな声にもしっかり向き合い、一人ひとりが持つ「世界」を尊重しています。
特に幼児クラスで行われる「対話時間」は、子ども一人ひとりの「世界」を共有できる手段の一つです。
毎日の朝の会や夕方の会、時には日中に行うこともあります。(小さいクラスさんから少しづつ行います)
1対1の対話から15名程度のグループ対話など、やり方はいろいろです。
ある日、子どもたちの心の中で「お掃除が義務化になっているのでは?」と感じた私は、
子どもたちに次のように尋ねてみました。
こどもたちからは、いろいろな発言が飛び出しました。
「きれいになると気持ちいいから」「お当番さんだから・・・」
「やった方がいいから」「散らかっていると次の人が困るから」などなど
ある女の子から「お掃除の神様に会いたいから」という発言が出ました。
その後「神様って何だろう?」の問いかけに繋がり、今度はいろいろな神様が登場しました。
「白いひげのおじいちゃん?」「天国に居る?」「うーとーとー」などなど
その女の子からは「みんなの心に住んでいて、育てる人」という言葉が出ました。
(その子は絵本大好き少女です。)
対話時間には「正しい答え」「間違った答え」などというものはありません。
1人1人の素直な感情を言葉に変えて表現します。
そもそも「対話」をテーマにした集まりは、平成10年ころの、風のうた保育園の職員・保護者・
近隣の住人・誰かのお友だちなど大人なら誰だって参加できる「大人のしゃべり場」が始まりです。
1気が向いたときに参加していい
2誰の話もジャッジしない(評価はしない)
3正しい答えがあるわけではない
ゆる~い会でした。
毎月の開催日は決めていましたが、アポなしで
いきなり参加してもいいのです
だから参加者が「3名」の時も「15名」くらいの時もありました。
とてもゆる~い会でしたが、「自分の探していた答えがありました」と涙ぐむ人や
「癒されました~」と笑顔になる人など素敵な思い出ばかりです。
「対話」はいつだって、誰だって、大人も子どもも大切だなぁ~と思います。
もちろん「一人の時間」も大切です。自分の考えや思いに浸る・・・
「個」と「集団」は切っても切れない関係なんだと思います。
「対話」の中から見える子どもたち一人ひとりの「哲学」はそれはそれは愉快です。真剣です。深~いと感心します。
世界のあちこちで、大人同士の損得勘定が、幼い子ども達を不安にさせています。
早く、愛ある対話の大切さを世界中のあらゆる人が気づいてほしいと思います。
空の蒼さ、波の音、小鳥のさえずり、子どもたちの笑い声・・・・・
誰も貶めない、誰も非難しない、誰のうわさも流さない。平和は私たち一人ひとりの
心の中にあると信じます。「豊かな対話」を織りなすことで思い出します。
平和な世界こそ“愛おしい存在であること”を忘れずに過ごしていきたいと思います。