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園長のお部屋

「認められたい」という子どもの気持ち

2026.08.19

参考:山竹伸二『「認められたい」の正体――承認不安の時代』講談社現代新書。主に第3章を参照し、保育実践に関連づけて考察しています。


子どもは、誰かに認めてもらいたい、分かってもらいたいという気持ちを持っています。

「できたね」「上手だね」と褒めてもらうことも、もちろんうれしい経験です。でも、子どもにとっての「認めてもらう」ということは、それだけではありません。

泣いているときにそばにいてもらう。
失敗したときに受け止めてもらう。
「やってみたい」という気持ちを大切にしてもらう。
友だちの中で、一緒に遊んだり、役割を持ったりする。

そんな一つひとつの経験を通して、子どもは「自分はここにいていい」「自分のことを分かってくれる人がいる」と感じていきます。

家庭は、子どもにとって大切な安心の場所

家庭は、子どもが親しい人との間で「自分は受け入れられている」と感じる、大切な場所です。

泣いたとき、失敗したとき、不安になったときにも受け止めてもらえる経験を通して、「自分はこのままでも受け入れてもらえる」という安心感が育っていきます。

親として、子どもの成長を願うのは、とても自然なことです。

「這えば立て、立てば歩め」と言われるように、昨日できなかったことが今日できるようになってほしい。元気に育ってほしい。できることを増やしてほしい。

わが子を思えばこそ、そんな願いが生まれます。

「できたね」と喜んだり、「次はこんなこともできるといいね」と期待したりすることも、親子の大切な関わりの一つです。

一方で、子どもによっては、親の期待を強く感じると、「できる自分でなければ受け入れてもらえないのではないか」と感じてしまうことがあります。

「失敗したらどうしよう」
「お母さん、お父さんにがっかりされたくない」
「できないと言ったらどう思われるかな」

そんな気持ちから、いつの間にか大人の表情や反応を気にして、自分の気持ちよりも「期待に応えること」を優先してしまうこともあります。

もちろん、親が子どもに「できてほしい」と願うこと自体が悪いわけではありません。

大切なのは、できたときだけではなく、できなかったときにも「あなたはあなたのままで大切だよ」と伝わる関わりなのだと思います。

「できなかったね。でも、やってみたね」
「難しかったね」
「今日はここまでで大丈夫だよ」
「失敗しても大丈夫。一緒に考えよう」
「あなたはどうしたい?」
「どうしたらよさそうかな?一緒に考えてみようか」

そんな言葉やまなざしが、子どもにとって大きな安心になります。

「あなたはどうしたい?」と尋ねることは、子どもの思いや考えを、一人の人として大切にすることでもあります。

すぐに大人が答えを出してあげるのではなく、子ども自身の思いや考えに耳を傾ける。「あなたの考えには意味があるよ」と伝えることも、子どもを認める大切な関わりの一つです。

山竹氏が述べる「親和的承認」において大切なのは、努力や成果そのものではなく、「ありのままの自分が受け入れられている」という実感です。

「できた」だけが大切なのではありません

園でも、子どもたちは毎日さまざまなことに挑戦しています。

すぐにできることもあれば、思うようにいかないこともあります。

友だちに「一緒に遊ぼう」と言いたいのに、なかなか声をかけられないこともあります。

そんなとき、「自分から言えるようになるまで見守る」ことも大切です。

一方で、困っているときに誰かがそっと手を差し伸べてくれる経験も、子どもの心を育てます。

「できなかったけれど、助けてもらえた」
「自分の気持ちを分かってもらえた」
「一緒にやってくれる人がいた」

そんな経験があることで、子どもは安心して、また次の一歩を踏み出すことができます。

「認める」は、何でも褒めることではありません

子どもを認めるということは、何でも「すごいね」と褒めることではありません。

できなかったときも、
迷っているときも、
失敗したときも、

「あなたのことを見ているよ」
「あなたの気持ちは分かるよ」
「ここにいて大丈夫だよ」

という気持ちで寄り添うことも、「認める」ことの一つなのだと思います。

そして、子どもが誰かに助けてもらった経験は、いつか「今度は自分が誰かを助けてあげよう」という気持ちにもつながっていきます。

ご家庭と園で、子どもの安心を支える

子どもが安心して自分らしく成長していくためには、「自分を受け止めてくれる人がいる」と感じられることが大きな支えになります。

ご家庭でも、子どもの「できた・できない」だけではなく、その過程に目を向けてみてください。

「やってみようとしたね」
「困っていたんだね」
「自分で考えていたんだね」
「手伝ってもらえてよかったね」
「うれしかったね」

そんな言葉をかけてもらうことで、子どもは「結果だけではなく、自分自身を見てもらえている」と感じることができます。

そして園でも、できたときだけでなく、迷ったときや失敗したときにも寄り添い、「あなたはあなたのままで大丈夫」という安心を感じられる関わりを大切にしていきたいと思います。

子どもたちが、「認めてもらうために頑張る」のではなく、安心して自分らしくいられるからこそ、やってみようと思える。

そんな環境を、ご家庭と園で一緒につくっていけたらと思います。